福島市 村上耳鼻咽喉科医院

村上耳鼻咽喉科医院

2016

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耳のかゆみについて ~外耳道湿疹(がいじどうしっしん)~

耳鼻咽喉科でよくみられる疾患に外耳道湿疹があります。耳の穴の中の皮膚にできる湿疹です。耳の痒み(かゆみ)があり、綿棒や耳掻き(みみかき)でいつもいじってしまっている状態です。一度痒みが生じてしまうと掻くことを止めれなくなり、掻き続けると痛くなり、耳だれも出てしまうことがあります。そこまでひどくなくとも、いつも痒みを感じている方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

その原因の一つが、多くの方がしている、いわゆる“耳そうじ”にあるからです。“耳そうじ”は耳垢(みみあか)を取ると同時に耳の皮膚を擦って(こすって)いますので痒みが出てしまうことがあります。一度痒みが出てしまいますと我慢が出来なくなり、悪化する一方となるわけです。

では、どうすればよいかと言いますと、できるだけ入り口の所だけを軽く拭くだけか、もしくは綿棒等の道具を使わずに、お風呂の後でタオルを使い、指で届く範囲で拭き取るだけが無難でしょう。そこでよく受ける質問は「それではどんどん耳垢がたまってしまうのでは?」ですが、基本的に耳垢は耳の入り口だけで皮膚が作り出しているもので、少しづつ外へ向かって排出される仕組みになっています。

耳垢の中には殺菌作用をもつ成分も含まれ、実は耳の門番役を担っていると言うこともできる物なのです。べたべたした耳垢、いわゆる“ヤジ耳”、“アメ耳”なども同じです。耳そうじをしていますと痒くなるだけでなく、少しずつ奥へ押し込んでゆくことがあり、完全に栓のように詰ってしまい、聞こえが悪くなり受診される方も多く見られます。

また、お子さんなどがぶつかってきたりして、道具を突き刺してしまい、鼓膜に穴が開いてしまうこともあります。体質によっては、耳垢が多く、いじらないようにしていても詰まってしまう方もいらっしゃいますが、原則的にはそうじをしない方が耳垢が詰まらないという、多くの方には意外な仕組みになっているのです。

補聴器を考えている方へ ~特にご高齢の方の場合~

高齢者の方の難聴は残念ながら治療による改善は困難なのが現状です。
しかし、補聴器の進歩により日常生活における不自由さをカバーすることは決して困難なものではなくなってきています。「どうせ補聴器を買っても、うるさいばかりで役に立たない」などと敬遠する方がいらっしゃいますが、使い始める時の注意点、心構えなどをわかっていただければ、きっと使いこなせるようになり生活に大きく役立つはずと思います。

大切なことは、補聴器は、着けてすぐに心地よく聞こえる方は少ないということを心構えとして持っていて欲しいことです。着ける前は、聞きたい音だけを大きくしたり、大きく話してもらったりして、余計な音を聞かずにいる生活に慣れていますので、着けた後は、聞かなくてもよい音を聞かなければならないという不愉快さを感じる事も少なくないようです。しかし、その方の聴力の程度に応じた補聴器の調整を根気よく繰り返し受け、ある期間を努力していただければ慣れることが可能で、常に使用して生活することができるようになります。

その間、周囲の方がほんの少しゆっくり話しかけていただくことで聞き取ることが容易になりますので、周囲の方の協力もとても重要です。また、一度も専門医(耳鼻咽喉科)の診察を受けたことのない方は受診をお勧めします。耳垢(みみあか)で完全に閉塞されていたり、気付かれにくい中耳炎になっていたり、その他の疾患が見つかる場合もあります。

そのまま補聴器を使用しても十分な補聴器の効果が得られないこともありますので病気がないことを確かめることが一度は必要です。補聴器を考える時期ですが、多くの方は、かなり聞こえが悪くなってからで良いと考えていらっしゃると思いますが、あまり悪くなってから使い始めようとすると補聴器に慣れることが難しくなってしまいます。また、時期を逸してしまい積極的な会話をあきらめてしまい、引っ込み思案になってしまうこともあります。ある程度聞き返しが多くなったら、まず自分の聴力を知るために受診されることをお勧めします。積極的に快適な生活を求めていただきたいと思います。

知っていますか?過労、ストレスが原因の耳鼻咽喉科の病気

突発性難聴=文字通り、急に耳が聞こえなくなってしまう病気です。急に耳が詰まった感じが生じ、痛みなどはありません。原因不明のことも多いのですが、疲労やストレスが内耳の血流障害を起こすためとも考えられています。治療をしても難聴が残る場合がありますので、早期に診察を受けてほしい病気です。重症の場合は入院治療が必要なこともあります。

咽喉頭神経症=食事するにはまったく問題がないのに、のどに詰まった感じが長い間あり、何回診察を受けても原因となるような異常はないものです。心身の疲労、ストレス、がんへの恐怖心がその人を弱気にさせ、不安が生じているものです。

重症な咽頭炎(のどかぜ)=最初は、軽いのどの痛みだったのが、段々ひどくなり水も飲めなくなってしまい、入院しなくてはならない程になる事があります。さらに炎症の場所が気管の入り口で強く起こると呼吸困難になり生命に関わる場合もあります。疲労やストレスが続くことで抵抗力(免疫力)が低下することが悪化する原因の一つと考えられています。市販の風邪薬を使っても悪化する傾向があれば我慢せずに早めに受診してください。

メニエール病=めまいを繰り返す病気です。耳には平衡感覚を保つための機能もありますが、この機能が疲労やストレスによる循環不全で障害されると考えられています。典型的な症状は、強い回転性のめまいに難聴、耳鳴り、吐き気を伴いますが、伴わないものもあり、耳の病気と分かりにくいこともあります。生命に関わるものではありませんが、繰り返し起こり治療が困難なこともあります。

いずれの疾患の治療は薬を使うことが主ですが、その効果は疲労に対する対策として睡眠を多くとるなどを実行できるかどうかで大きく左右されます。患者さんの多くはいつも過労やストレスの状態でいる、いわゆる企業戦士や子育て中の主婦の方などです。これらの病気にかつためには医師や薬の力だけで治るものではありません。皆さんが自分を管理して予防、治療していくものであることを理解してほしいと思います。

過労、ストレスが原因の「めまい」や「耳鳴り」「難聴」

内科や脳神経外科などで異常が見つからず、めまいや耳鳴りが改善しないため受診される方が少なくありません。治療を受けても、背景にある過労やストレスが解消できていないために良くならないことが多いのです。

ある日突然、片方の耳の聞こえが悪く(つまった感じに)なる「突発性難聴」、めまいや耳鳴り、難聴を何回も繰り返す「メニエール病」などが代表的です。過労やストレスにより耳の奥にある内耳の一部(平衡感覚を維持する部分)に循環不全などが生じ発症すると考えられています。薬の内服が治療法ですが、大切なのは、過労、ストレスを解消する対策を本気で実行していただくことです。

過労、ストレスの原因は各年齢層でさまざまです。具体的には30~40歳台では、休み無く働く過酷な労働環境、それに伴う対人関係、50~60歳台では中間管理職としてのストレス、介護、意外なこととしては小さいお孫さんのお守り、それ以上の年代では老老介護、不眠症、意外なことでは、自由な時間ができそれまでできなかった趣味への没頭による睡眠不足、などなどです。女性に多い理由としては、まじめで責任感が強く、また完璧主義的な性格の方が多いからかもしれません。

治療に関してよく患者さんにお話しすることは、「お薬を飲んでも疲れは取れないですよ」という当然のことです。仕事量をコントロールし、睡眠を確保し、リラックスする時間を作るなどの対策を計画的に実行し、自分の体のことを考えてあげる意識改革をしていただくことが治療の本質と考えています。実は、長引くカゼ症状などに対しても同じことが言えます。過労やストレスが体の抵抗力(免疫力)を低下させることがわかっているからです。多くの病気の治療の主役は医療ではなく本人であるという理解が大切です。

耳、鼻、のどの異物

耳や鼻、のどに異物が入ってしまったり、刺さってしまうことがあります。基本的には自分で取ろうとしますと、さらに奥へ押し込んでしまう事が多いので、耳鼻咽喉科に受診していただいたくことをお勧めします。ただ、それぞれに注意点がありますので少しお話したいと思います。

耳の穴の異物で意外に多いのが、自分で綿棒や耳掻き棒を使い耳そうじをしていて、耳あかや髪の毛などを奥へ押し込んでしまう事です。耳の詰まった感じや「ガサガサ」とした音が苦になり受診されます。耳そうじはお風呂の後などに、入り口の水分を吸い取るだけにしておくのが無難です。鼻の異物は、やはり幼児に多いのですが、入れるところを見ていなければ気が付かないでいることもあります。ただ、入れたものがティッシュ、スポンジのようなものですと鼻汁を吸って感染を起こし、入れたほうの片側の鼻の穴だけから、濁った鼻汁が出続けていることがあります。

のどの異物はほとんどが魚の骨です。ご飯を丸飲みすると良いなどと言われていますが、一度刺さったものはなかなか抜けることはなく、時間も経ちますとかえって奥へ埋没し見つけにくくなる可能性がありますので、なるべく早期の受診が良いでしょう。異物を飲み込んでしまう場合、食道に入ったものは小さいものは便中に排泄されますが、大きいものは食道異物となります。

幼児で時々見られるのは硬貨です。飲み込みが悪くなる事もありますが、気づかれない事もあります。乳児ぐらいで特に怖い異物にボタン電池があります。これは食道に引っ掛かったままになりますと、微弱電流により食道に穴があいてしまい重症になる事があります。気管に異物が入った場合は、強い咳の発作がみられます。その後、呼吸音が異常になったり、顔色が悪くなったりしたら窒息の危険性もありますので、迷わず救急で受診することが必要です。

乳幼児で比較的多い気管異物は、ピーナッツや枝豆などの豆類です。かけらになって、吸い込みやすくなるからです。食物を口にいれたまま歩き回ったりしていて、転んで泣いた場合に発生することが多いので、行儀をしつける意味でも徹底して防止してください。

のどが痛い

発熱とともに
ノドの痛み、
ジリジリ感がある

急性咽頭炎
いわゆるノド風邪。熱も微熱で「いがらっぽい」程度の場合は市販の総合感冒薬を飲んで睡眠をとれば治る事も可能です。それでも悪化傾向を示したら受診をお考えください。

痛みが強く、
唾液を飲むだけでも
顔がゆがむ

扁桃周囲炎
炎症が強く、もしくは治療を受けずに放置してしまい、炎症が「へんとうせん」の周囲まで及ぶと食事をすることも困難になってしまいます。入院治療が必要なことも珍しくありません。
急性喉頭蓋炎
(きゅうせいこうとうがいえん)
口を開いてみても一見なんでもないのに、のどの奥の気管の入り口が腫れてしまうもので、窒息に至ることもあり、急性炎症では耳鼻科医が一番恐れる病気です。即日入院治療が必要です。場合によっては気管切開が必要な場合があります。

更に痛みが強く
声もコモッタ
感じになる

扁桃周囲膿瘍
(へんとうしゅういのうよう)
扁桃周囲炎が更にひどくなると周囲に膿(うみ)がたまって扁桃周囲が腫れて(張り出して)きます。即日入院が必要な状態です。

口の中が痛い

一ヶ所または
数ヶ所が痛い

口内炎
過労、ストレス、胃腸障害、口内の外傷、などで起こりますが原因不明、遺伝的体質で長期繰り返す場合もあります。

舌が痛い

舌炎
口内炎の一部として治療します。
舌痛症
口内炎のように異常所見がないのに痛みだけを訴える場合があります。意外にストレスなどの心因的なことが原因で起こっていることもあります。
舌がん
口内炎のように荒れた部分があり、患部が汚く見えることがあります。

濁(にご)った痰が出る

咳が出る

気管支炎、肺炎
抑えようのない持続的な咳とともに出ます。鼻やノドの症状がなければ内科受診が良いでしょう。

咳払いで痰が出る
(鼻汁がノドに下がってくる)

副鼻腔炎
鼻汁は鼻から出なくても、ノドにさがることが主体になることもあります。咳として内科を受診しても異常がなく耳鼻科へ紹介になることも時々あります。

声がかれている(嗄声:させい)

数ヶ月~数年前から
かれている

声帯ポリープ
声を酷使する方が、長い間放置している場合などに見られます。多くは手術療法が必要です。
声帯結節
やはり声の酷使ででき、声帯の一部がいわゆる「タコ」状態に硬くなるものです。小児男児の騒ぎすぎでなる場合もあります。
声帯萎縮
声帯がやせてしまうことです。大病などで急激な体重減少となったとき、また、高齢の方が一人暮らしで声を使わないことが多かったりすると起こるときがあります。
喉頭がん
声の酷使もしていないのに生じている場合、また、ヘビースモーカーの場合、気をつけてください。

数日前から急に

急性喉頭炎
急に発症します。ノドの痛みなどの症状がある場合、無い場合があります。いわゆる風邪の一部と考えてよいのですが、炎症の場が声帯ですので、治すためには声をなるべく出さないようにしなければなりませんので、生活制限がやっかいな風邪と言えるでしょう。治療が遅れ、かすれた声を無理をして使っていると、治るのに時間がかかってしまうことになります。できるだけ早く受診し治療開始することが必要です。

ノドのつまった感じ、痰がからんだ感じ(実際に痰は出ない)

何ヶ月も前からあり、
特に生活に支障がない

咽喉頭神経症
食事は問題なく摂れるが、異物感がある。何かに集中していたりすれば忘れている。身近な人に癌になってしまった方がいたとか、癌のテレビ番組を見てから急に気になってしまったとか、いわゆる、心因的な不安症の状態で、ストレス、過労が背景にあることも多いです。
甲状腺疾患
甲状腺腫瘍などが咽喉頭神経症の症状の原因になっていることがあります。
逆流性食道炎
食道の炎症が原因になっていることがあります。胸焼けやげっぷを認めることがあります
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